千秋の飛行機恐怖症克服にのだめのコンクール出場と、物語は転換点にさしかかる。
この巻で残念だったのは、カイ=ドゥーンが「本日のコンマス」を務めるp.105からのシーンで、原作の「セカンド(バイオリン)にビオラ!」という台詞が「2nd violas!」になっていたこと(通常のオーケストラ編成では「第2ビオラ」というパートは存在しない)。この部分で間違えたため、直後の「内声の重要性」についての指示までが変になってしまっている。カイ=ドゥーンの指示の高度さ・的確さを端的に示す場面だけに、ここは丁寧に訳してほしかった。一方、英語版p.154のナデジタ(ロシアの鉄道王の未亡人・ナジェジダ=フォン=メック。チャイコフスキーのパトロンとして有名で、かおりさんの言う「違う作曲家」もおそらくチャイコフスキーのこと。若い頃のドビュッシーも援助を受けていたが、彼女の娘に手を出して追い出されたそうな)のくだりは、なぜか英語版の方がより詳しく書かれており、のだめの勘違いっぷりが引き立って、むしろ日本語版より面白くなっている。
専門的な内容を含んだ娯楽作品(漫画に限らず)の翻訳は、どうやら想像以上に大変なもののようです。